重度身体障害者通所施設 友愛デイサービスセンター 訓練室(ひまわり)のリフォームが完成しました。

リフォームにあたっての設計士の思い

●シックハウス対策
 作業性が良い、見た目が綺麗、価格が手頃、掃除しやすいという理由で、現在の建物のほとんどの部分は新建材という人工材料で造られています。これらの材料は便利である反面大量の化学物質を含んでいます。この中には人体に悪影響を与えるおそれがある化学物質を含んだ材料があり、それによって「アトピー」「シックハウス症候群」「化学物質過敏症」になってしまう人が非常に増えてきています。
国ではホルムアルデヒドについての使用基準を示して対策を図りましたが、ホルムアルデヒドだけが原因物質ではないので、まだまだ健康被害を訴える人は無くなりません。また国で定めた基準も健康な成人を対象にした数値であり、子供や免疫力の弱い人には決して安心できる数値ではありません。
今回障害者施設のリフォームということで、私の今までの研究結果と化学の専門家の助言の下、一歩踏み込んで材料に含まれる化学物質の成分を把握してより安全性の高い材料を選んで工事にあたりました。法的にはホルムアルデヒドのみが規制の対象となりますが、その他の指針値が示されている物質については使用していない、若しくは使用していてもはるかに少量で素早く室外に排出できる材料を選んでいます。また材料のみならず、下地調整材、接着剤についてもこの基準で選定しております。
これらの材料には、新建材に比べて汚れやすい、掃除に手間がかかる、接着力が劣るという欠点がありますが、人体への悪影響を少なくするという利点に注視すれば、掃除や補修で対応できるこれらの欠点は補えるものであると考えます。
●使いやすい施設
利用者、介助者が使いやすいように、高床の広さや立ち上がり高さ、洗面器の高さ、パソコン作業台の高さ、掃除用シンクの高さ、収納部分の奥行き水屋棚扉の開閉方法など各部分については実際に利用者、介助者と現場にて採寸の後寸法を決め、この施設を使用する人が使いやすい空間になるように配慮しました。
高床部分の照明については臥位(寝た姿勢)の生活での眩しさ対策として調光式のダウンライトを採用し、快適な環境になるように努めました。
●安全な施設
身体が自由に動かない利用者やスピーディーに介助にあたらなければいけないスタッフの安全を確保するために、滑りにくい材料選定、棚からの落下防止、出隅部分のクッション、可動家具の固定方法、運搬方法に配慮しました。

一級建築士事務所 アトリエアーチ 志水隆之

寝た姿勢で生活する利用者にとって天井は重要な風景のひとつになります。
ランダムに散りばめられた天井の柔らかな大小の光は、仰向けに寝ている利用者の想像力をかきたてます。
宇宙を旅している人もいるかもしれません。

床に段差があるおかげで、
車椅子への移乗が楽になりました。

before

after

after

before

高齢者施設では最近よく見られるようになってきた高床(小上がり)部分ですが、障害者の施設ではまだまだ珍しいことです。高齢者と違い障害者の場合利用者の中には、まだまだ体力的に十分に自立できる方が多く居ます。家庭での自立生活へつながるリハビリの場としてもこの段差を積極的に活用できるものと期待しています。

床を上げることで
1 より衛生的になります。
2 車椅子と高床間の自力での移乗や、段差を利用した座位保持など
  残存能力を活かすことができます。
3 下部収納が可能となり、スペースが広く使えます。

※一部を可動式にすることで、車椅子での訓練活動にも
  柔軟に対応することができます。
施設職員(作業療法士)の視点から

 高床にしたことにより、床に寝て過ごされていた利用者の目の位置が上がり、高床に座った状態で窓の外が眺められるようになりました。このことが直接の原因かは定かではないが、リフォーム前は日中うとうとと眠ってばかりいた利用者がずっと起きているようになりました。また微妙に体温が上昇した利用者もいます。
 計画段階では床が上がる部分が広くて車いすでの活動に支障をきたすのではないかと心配しましたが、床下の収納場所が増えたおかげで物が片付き、思ったよりもゆったりと活動ができています。
 新しい環境へ適応できない利用者が出てこないか心配でしたが、今まで使用していたものをできるだけ利用しながらリフォームしたおかげで今のところ利用者に悪い症状は現れていません。
 高床の段差を利用したプログラムを織り交ぜながら快適に活動できています。